月

地球から見上げるとまん丸な月ですが、実際はレモン形をしているそうです。今回は月がなぜそんな形になったのかについての学説をご紹介します。

月の誕生
火星ほどの大きさの物体が誕生したばかりの地球に衝突し、弾き飛ばされた熱い岩の塊が月になったと考えられています。そのころの月は流動的な溶岩の塊であり、回転しながら冷やされることで外側の地殻が固められていきました。その過程で、月はなぜか地球と同じような球形ではなくレモンのような形になっていきました。

調査が困難である理由
なぜこのような形になったのかいくつかの説はありますが、月にはその本来の姿を覆い隠すほどの巨大な盆地がいくつかあるため、研究には困難を極めます。そのうちの一つが、太陽系内の中で最も巨大で深いクレーターである南極エイトケン盆地です。

学説その1:地球の引力
現在の月の形が形成される前はどんな形をしていたのかを調べるため、マサチューセッツ工科大学のマリア・ツバー教授とそのチームは12の盆地を再現したモデルを準備しました。その結果によると、月のレモン状のふくらみは誕生から最初の2億年の間に地球の重力が月のマグマを引っ張り、地球に最も近い部分と遠い部分に地殻をより多く形成させたことにより生じたものであるとのことです。

しかしまだ謎が残っています。地球の重力よって生じたというのであれば、レモンの先は地球の方に向いているはずですが、実際は36度ずれています。研究者達は、月が地球から離れていくにつれ冷却される部分が不均一になり、地殻が不均衡になったことによって極軸が現在の角度までずれたと提唱しています。

学説その2:地球の潮汐力
カリフォルニア大学のイアン・ギャリックベサル教授は、月が出来始めだった40億年前はもっと地球に近かったので地球の潮汐力の影響が強かったと説明します。2013年、テキサス大学の研究チームは木星の衛星であるエウロパの氷殻には、かつて木星からの潮汐力の影響があったとの研究を発表しました。イアン・ギャリックベサル教授の研究チームはこの研究にインスパイアされ、同じく流動的であった初期の月にも同じことが言えるのではないかと仮説立てたのです。

[source: BBC, NewScientist]