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植物の中には他の植物に寄生して生きていくものがあります。そういった植物は、宿主と遺伝子情報の交換を行っていることが分かっていましたが、そのことについての更なる進展がありました。今週の Science 誌で発表された研究です。 (Photo by Virginia Tech)

植物間の“会話”

バージニア工科大学のジム・ウエストウッド教授は、寄生植物と寄生される植物の間で遺伝子情報の共有が行われていることを発見しました。

実験では、寄生植物であるネナシカズラ属の植物と、寄生される植物であるシロイヌナズナとトマトが、どの様に相互作用し合っているのかが調べられました。ウエストウッド教授の過去の研究で、二種の間ではRNA (遺伝子情報の暗号化と解読の助けをする分子、別名リボ核酸) の交換が行われていることが既に分かっています。

Cuscuta europaea
ネナシカズラ属の寄生植物は、つるを他の植物の茎に巻きつけて haustorium (ホーストリアム、吸根) と呼ばれる器官を挿入し、水分や養分を吸収する (Photo by Wikipedia)

今回の研究では、ウエストウッド教授は植物のmRNA (メッセンジャーRNA) に着目しました。mRNAは、生物において鍵となる特定のタンパク質をどの様に暗号化するのかを指示する細胞内の分子です。mRNAは植物の成長を統制することが出来、いつ花を咲かせるのかをもコントロールします。彼は、寄生植物とホスト植物の間で、何千ものmRNA分子のやり取りが行われ、会話が成されていることを発見しました。

しかしまだ謎は多く、次に出てくる疑問は「彼らはお互いに何を伝え合っているのか?」であるとウエストウッド教授は語ります。彼は、植物はお互いの関係についてコミュニケーションしているのではないかと推測しています。例えば、寄生植物は寄生先の植物にガードを弱めるように指令を出しているのではないかということが考えられます。

今回の発見の有用性についてウエストウッド教授は、「mRNAは寄生植物にとってのアキレス腱となる可能性がある」と考えており、アフリカの貧しい地域などで食糧源の一つとして栽培されている農作物を寄生植物から守ることへの助けとなることが期待されています。


via: Newsweek, NBC News