ヘッドフォン

好きな音楽を聴いていると通常とは違った気分になるものです。神経学的な研究によって、そういった状態ではより内面的な集中力が高まっているということが分かりました。

ジャンルよりも、好きか嫌いかが重要

Scientific Reportsで8月28日に発表された研究です。

研究では、若年の大人21人が好きなジャンル・嫌いなジャンル・好きな曲を聴いているときのそれぞれの脳の状態がMRIスキャンによって測定されました。

研究の結果、被験者が好きなジャンルか曲を聴いている時、彼らの脳ではデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれるネットワークが活性化されていることが分かりました。DMNは内的思考と外的思考の切り替えに関係しているネットワークです。つまり、DMNが活性化していると物理的に周りの世界で起こっていることを意識していないということになります。

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Photo by Scientific Reports

神経科学において、デフォルトモードネットワーク(DMN)とは個人が外界を意識せず脳がウェイクフル・レスト(起きながらに休憩している状態)である場合に活性化する脳領域のネットワークのことを指す。デフォルトネットワーク、デフォルトステイトネットワーク、タスクネガティブネットワークとも呼ばれる。DMNは0.1ヘルツ以下での一貫した神経振動によって特徴付けられている。はっきりとした目的のある行動をしている時、DMNは非活性化されタスクポジティブネットワーク(TPN)と呼ばれる別のネットワークが活性化する。

DMNが活性化されると、目的のある行動をしている時に起こるTPNという別のネットワークがシャットダウンされます。この二つの状態は、外界への意識の集中(TPN)と内面への意識の集中(DMN)と考えることができます。今月初頭、別の研究グループがこの二つのモードを切り替える方法をマウスによる実験で発見しています。

1980年代、DNAの父として知られるフランシス・クリックは視床が大脳皮質への出入り口であるとするならば、それらの間に存在するTRNと呼ばれる薄い層はその門番の役目をしている可能性があると提唱。

研究者達は、TRN細胞はマウスが眠っているときは映像情報が大脳皮質へ送られるのをブロックしているが、起きている時はそれらの情報の受け渡しをしているということを提唱。

研究者達はその細胞を操作することによって、起きている状態のマウスの脳でもそのスイッチを切り替えることができた。

マウスによる実験ではあるものの、主任研究員であるマイケル・ハラッサ教授は人間の同じような機能の理解と操作において大きな前進であると考えている。

もし同じシステムを担っている回路が人間でも発見されれば自閉症などの治療に役立てることができる。その新しい治療法としては薬剤の投与や脳への刺激(切開することなく可能)、そして装置の移植などが検討されている。

ジャンルの違いや歌詞の有無に関わらず、それが好きな曲である限り結果には一貫性がありました。音楽の幅広い多様性を考慮すると、この結果は予想していなかったことであると研究者達は書いています。

もちろんこのような効果は既に自身の体験によって分かっている方も多いかもしれませんが、研究者達はこの発見が自閉症や統合失調症などといったDMNの活発性や連結性が弱い人々に向けた音楽療法への革新に繋がってくれることを期待しています。

参考文献:Washington Post, Smithonian, Scientific Reports