ニューヨーク、ブルックリンを拠点に活動するコラージュ・アーティスト、マーク・ワグナー氏。彼の代表作は1ドル札を切り貼りして人物の顔を作り上げる通貨肖像(Currency Portraits)です。なんでもありの芸術の世界とは言え、お金を率先して破壊する人はなかなかいないのではないのでしょうか。彼は、お札を切り刻むというタブーな行為は人々の注目を引き寄せると語っています。

エイブラハム・リンカーン
Photo by Mark Wagner

ワグナー氏によると、アナーキストは彼をアナーキストと見なすそうです。なぜならお金は圧制のツールであり、彼はそれを切り刻んでいるからです。一方で、資本主義者は彼はお金を楽しんでいると考えるため、彼を資本主義者であると見なすそうです。

ベン・バーナンキ
Photo by Mark Wagner

芸術的な目的のために通貨を変造することはヨーロッパでは許可されていますが、彼のいるアメリカでは法律的には禁止されている行為です。しかしながら、彼の作品は「ニューヨーク近代美術館」「ウォーカー・アート・センター」「アメリカ議会図書館」「スミソニアン博物館」といった施設に収蔵されています。

鶏

恐竜
Photos by Mark Wagner

素材である1ドル札は、最初の頃はお店で20ドル札を崩して手に入れていましたが、後に銀行で1,000ドル分の新札を束で仕入れるようになりました。古いものよりも“パリッ”とした新札の方が最適であるそうです。硬質で丈夫な1ドル札は、アーティストにとって良質な紙であると彼は語っています。

コラージュ・アーティストにとって、「破壊」が必要不可欠な最初のステップであると語るワグナー氏。それぞれの作品には15~20枚の1ドル札を使用し、使わなかった部分は貯蓄されています。制作はアシスタントと共に行う場合もあり、完成には30~40時間を所要します。

1ドル札

1ドル札

1ドル札
Photos by Vimeo

個人的な感想としては、芸術的な創作物に付けられた値段がその価値を反映しているものであるとすれば、この作品は芸術全般に対してとてもアイロニックなメッセージを投げかけているものだと思いました。

他にも多くの作品をMark Wagner Inc.で見ることができます。

via: Vimeo, Slate