40果実の木
Photo credit: Sam van Aken | Ronald Feldman Fine Arts

通常、果実はそれぞれの木に一種類だけしかできません。しかし、この木は一本だけで40種類の実を付けることが出来ます。「40果実の木」と名付けられているこの木は、アーティストでありシラキュース大学の教授でもあるサム・ファン・アーヘン(Sam van Aken)さんによって作られたものです。

彼がこの木を作り上げる上で使った技術は、「接ぎ木(つぎき)」と呼ばれるものです。二つの木の切断面をくっつけて固定しておくとやがて癒着して同化するという、農業や園芸で広く使われている技術です。


接ぎ木とは、2個以上の植物体を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とすることである。通常、遺伝的に異なる部分から構成されている個体を作る技術として用いられるが、果樹等の育種年限の短縮化、接ぎ木雑種の育成などの目的で行われる場合もある。(ウィキペディア

新しく接ぎ足された穂と元となる台木が異なる種類の場合、それぞれは養分や水分を共有しているもののあくまで別物ですので、接ぎ木された部分よりも下で切り戻した場合、新しくそこから出てくる芽は元の台木のものとなります(ごくまれに遺伝子が混ざり合うこともあるそうですが基本的には起こりません)。例えば、観葉植物などにおいて接ぎ木によって作られた斑(ふ)入り株の場合、切り戻し場所によっては次に出てくる芽に斑が入らなくなることが有ります。そのことを考慮すると、おそらくこの「40果実の木」も深く切り戻すと通常の「1果実の木」に戻ってしまうでしょう。

この木を作ろうと思ったきっかけは、幼少期に見たこの「接ぎ木」という工程に心を奪われたからであると彼は言います。彼は接ぎ木のほかにも「チップ・グラフティング」と呼ばれる、他品種の木片を接ぎ木のようにくっつける技術も使っています。寒い時期は通常の木に見えますが、春になると様々な色の花が咲き乱れ、やがてピーチ、プラム、アプリコット、ネクタリン、チェリー、アーモンドなど異なる種類の実を付けます。

40果実の木
Photo credit: YouTube | National Geographic

40果実の木は一本だけではなく、複数の個体がアーヘンさんによって栽培されています。彼はそれぞれの個体の接ぎ木状況を詳細に記録し、管理しています。全工程を終えるまでには8~9年の歳月を要するとのこと。

40果実の木
Photo credit: YouTube | National Geographic

現在、アーヘンさんによって作られた40果実の木はアメリカ各地に植えられて多くの人によって楽しまれています。